No.01 DINKs世帯は遺言を書こう!
近年、DINKsと呼ばれる世帯が増えています。DINKsとはDouble Income No Kidsの略で、「夫婦共働きで子供がいない世帯」のことを意味します。
以前、知人たちに遺言の話をしたとき、あるDINKs世帯の方から「うちは子供がいないから、私にもしものことがあったとしても相続財産は妻のものになるので遺言は不要です」と言われたことがありました。
しかし、専門家として言わせていただくと、DINKs世帯こそ互いの為に遺言書を書きましょう。
以下、その理由を説明いたします。
子供がいない夫婦の財産、誰に相続される?
子供がいない夫婦で、夫が亡くなった場合を例にとって考えてみましょう。このとき、夫の全財産は妻が相続する、と思っている方も多いことでしょう。上で紹介した知人もそのように考えていたようです。
しかし実際は必ずしもそうではありません。場合によっては亡くなった夫の親や兄弟姉妹までもが相続人となる場合があるのです。
具体的に見てみましょう。民法では相続人の順位が決められています。配偶者がいる場合、配偶者以外の相続人の順位は以下のようになります。
①子がいる場合
相続人は配偶者と子です。
②子がいない場合
相続人は配偶者と親です。
③子も親もいない場合
相続人は配偶者と兄弟姉妹です。
ここで③に注目してください。もし夫が亡くなったとき、夫の両親もすでに他界していたら、夫の兄弟姉妹が相続人となるのです。つまり夫の財産はすべて自分が相続すると思っていると、夫の姉がその4分の1について相続権を主張してくる、ということがありうるのです。
夫の兄弟姉妹との関係は良好でしょうか?
このような場合は、妻と小姑との間で話し合い(遺産分割協議)をした上で、それぞれの相続財産を確定する必要があります。普段から良好な関係を築くことができていればよいのですが、配偶者の兄弟姉妹ともなると、疎遠になっている方も多いと思います。数十年ぶりに再会した小姑といきなり財産の話し合いをするというのは、想像する以上にストレスがかかるものです。しかもその話し合いがスムーズに進むとは限らず、そのまま関係がこじれ、最終的には裁判にまでもつれ込むケースも見られます。
ではどうすればよいのか
その解決策として最もよいのが、遺言の作成です。夫は妻に、妻は夫に、自分の全財産を相続させる旨の遺言を書いておけば、相続財産は確実に相手方配偶者のものとなります。
なお、兄弟姉妹には遺留分(最低限の相続財産を確保するための遺産取得分)を請求してくるのではないか、という心配は無用です。法律上、兄弟姉妹には遺留分が認められていないので、遺言さえあれば義理の兄弟姉妹の関与を防ぐことができるのです。
当事務所で遺言を作成いただければ、そうした実情も踏まえたうえで最適なアドバイスを提供することができます。遺言作成に関心をお持ちいただきましたら、ぜひ当事務所へお問い合わせください。